時間を取ってほしい時

1.話を聞いてもらえない

新規取引先の開拓時だけでなく、既存のお客様と相対する時にもありがちなのが「お客様が話に乗ってきてくれない」という悩み。商売の話はもちろん雑談にも乗ってきてくれない、だからこちらの本命の話をなかなか聞いてもらえない。。。この悩み意外と多く相談が寄せられます。それも新人からだけでなく、そこそこの中堅社員さんからも寄せられる悩みです。

確かにあいさつの後どうも乗りの悪いお客様と話をするのって難しいですよね。こちらが何を言ってもうなずくだけ、お客様から話しかけてくれることはなく重い空気が流れ始めて商談が自然と打ち切られる、いたたまれなくなって自分から商談を打ち切る。さらに最悪なのがその場で次回のアポ取りができないどころか、改めてのアポ取りも難しくなってしまう。結果、だんだん足が遠くなってしまい、せっかくきっかけを築いたお客様の新規開拓は失敗、困ったことに既存のお客様すら失ってしまう。

と、お客様が話に乗ってきてくれない、話を聞いてくれない、とてつもなく重要な悩みですよね。ところがこのような相談乗ってくれる先輩社員が意外と少なかったり、いなかったり。ネットで調べてもこの手の話に対する回答が少ないような気がします。

そこでここではそのようなときにどうしよう、といったお悩みに多少裏技チックではありますが、皆様のヒントになればといったお話をさせっていただこうと思います。

2.得な話大好き

どんな話なら聞いてくださるのか、どんな話なら乗ってきてくれるのか。相手の性格や状況にもよると思いますが、①興味のある話題 か ②得になる話 のいずれかは食いつきが良いはずです。

逆の言い方をすると、このような話以外では新規のお客様ではなかなか話に乗ってきてくださるとは思えません。もっと言えば、すでにお付き合いのあるお客様だって同じで、いつもいつも仕事の話、それもこちらの売り込みに話ばかりだとだんだん話が弾まなくなり、しまいには煙たがられてしまうこともありますよね。食いつきが良い話をするのは当たり前だよ、という声が聞こえてきそうです。が、ご相談いただいた会社さんの営業さんに同行させていただいたり、私自身に売り込みに来られる営業さんの話を聞いていると案外当たり前ができていないような気がします。


とはいえ、興味のある話題や得になる話ってどんな話をすればよいの?いつもいつも相手の得になる話のネタなんか持っていないけれど。。。。となりますよね。そこで次回はまず相手の得になる話についてお話しさせていただきます。

3.得な話って何

得になる話ならは食いつきが良いはずです。

では得になる話って何でしょう。新規開拓だから、とても大事なお客様だから、と大きくかまえて考える必要はありません。もちろん仕事に絡んだ話、相手の事業で得をする話である必要もないです。そもそも仕事や相手の事業に絡んだ話で得をする話なんてそんなにあるわけないですし。

ではどんな話が?

本当に何でもよいと思います、Mハンバーガーのポテトが全サイズ○○円ですよ、ABCカメラが改装前の処分セールでパソコンが・・・、DEF自動車販売が決算セールで営業車を破格で出すみたいですよ、とか本当に何でもよいんです。こんな話ばかりで食いつきがよくなるとは思えないけれど、という声も聞こえてきそうですがこんな話を続けていると相手が興味を持つ点が分かったりしてきます。そうすると次回以降どんな話をすればよいのか作戦を練ることができます。(すでに相手の興味ポイントが分かっているのであれば良いのですが新規開拓やなかなかざっくばらんに話ができないときなどこんな探り方もあります)

長くなりますがもう少し、この時「最新のコピー機に興味ありませんか、うちの会社に来てくれる事務機屋さんの営業が新規取引なら来月末まで・・・にするといっています、興味があれば連れてきますよ」なんて言うお得情報を提供できると最高なんですが。

なぜ最高かは「新規訪問先を増やしたい」のコーナーでお話しさせてください。

得になる話って何、それは「大げさに構えない&何でもよい」話です。なのですが実際のポイントは、相手が興味を持つ点を探ってください。というのが今回の話でした。

4.大批判を浴びそうな話です

(大批判を浴びそうな表現をしていますので不快に思われた方、関連する皆様、先にお詫びしておきます。わかりやすい例えがなかったため以下のような表現をさせていただきました申し訳ございません。)

いろいろな方とお話しさせていただいたり、お問い合わせいただく中で少しだけ気になったことが多いので本題から脱線して話をさせていただきます。入社3~4年あたりのみなさまとの話で感じました。


お客様や未来のお客様に時間を取ってほしい時(だけでなく新規開拓や販路開拓、効果的な販促策についても同じなのですが)、セオリー以外の特効薬、俗にいう飛び道具はないということは、頭に入れておいていただきたいです。このサイトもトップページで記載している通り、ちょっとしたコツ、煮詰まったら参考にしてほしい点をご紹介していますが、絶対的な手段はお伝えできません。それは絶対的な手段を私たちが知らない、で、お伝え出来ないでいるからです。もちろんITやAIを駆使して画期的な方法を見つけられれば、それはすごいことだと思いますが、ここでは一般的な営業マンさん向けのお話をさせていただいていますので申し訳ございません。

で、なぜ絶対的な手段はないとご案内するかというと

「ダイエットの本がいまだに新発売されているのと同じ」

だからです。この一文でわかっていただけたと思いますがこんなことだと思います。私自身がダイエットに関する本が存在することを知ってから40年以上たつと思いますが、いまだにダイエットに関する本は新たに出版されています。ABC呼吸法で、DEFを飲むだけで、楽してお腹を、などなど本屋さんに行けばダイエットに関するコーナーはどこでもそれなりのスペースを割いていますよね。

なぜ次から次へと新しい方法によるダイエット本が出版されるのでしょうか?もうおわかりですよね、過去に出版された本に効果がなかったからです。もし過去に出版された方法でダイエットに成功できるのであればそれ以降、新しいダイエット方法に関する本は出版されないはずですよね。効果がなかったから新しい本が出版されるわけで・・・。

というわけで、営業や販路拡大においてセオリーはまず学んでください。会社で開催される勉強会や渡される資料、ご自身で購入される本など何でもよいですがまずは基本というか基礎は学んだほうが良いと思います。そのうえでうまくいかなかったら参考程度にこのサイトにある手段などを試してみるのが良いと思います。営業のノウハウ本もたくさんあります、これで完璧なんていうセミナーもたくさんあります。でも「必殺の飛び道具はない」ということを頭の片隅において勉強したり実践するようにしてください。正直な話、怪しげな有料セミナーや首をかしげたくなる本もたくさんあります。

今回はいろいろな方面にケンカを売っているような内容になってしまいましたが参考にしてくだされば幸いです。

5.3.得な話って何の続き

「相手が興味を持つ点を探ってください」というところで「3.得な話って何」は終了しましたが、それほど得になる話を毎回毎回提示できるわけでもなく、はっきり言って話のネタに詰まっているという声が大多数のようです。でもこれって少し厳しい言い方をするとネタ作りについての努力をしていませんね、ということだと思います。

もう少し厳しい言い方を続けさせていただくと、ネタ=提供できる情報に、かっこつけようとしすぎていませんか?ということでもあると思います。繰り返しますが提供できる情報、得になる話は必ずしもビジネスに直結してなくてもよいのです。

信頼関係を構築する第一歩はなんと言ってもお互いに出せる情報の量だと思います。もちろん「仕事で助けてあげることができた」「大きなビジネスチャンスを提供できた」なんていうことがあればよいのですが、そういうことってなかなかないもの。となると相手にとって有用な情報をどれだけ多く常に提供できるか、が大事になってきます。

有用な情報っていうのはビジネスだけではなく〇〇スタジアムの〇〇シートは比較的取りやすい、〇〇食堂はセットメニューよりバラで頼んだ方が20円の違いで量が圧倒的に多い、〇〇線への乗り換えは案内通りよりも一番前のほうが近い、なんという話だってありです。

遠慮して情報を出していないのかもしれませんが、いろいろな営業マンさんと一緒に回らせていただくと、とにかく手持ちの情報が少ないような気がします。

アイドルの推しの話でも、オヤジが大好きな日本のプロ野球の話でも、メイドカフェのオムライスの話でも、アメリカの金融引き締めの話でも何でも良いです。しかしそれらでさえ情報として持っていないような気がします、というか集める努力をしていないような気がします。今更新聞なんて!というのであればスマホで情報を集めてみる、ちょっとした飲み会に参加してみる、たまにはラジオを聴いてみる、休みの日に図書館に行ってみる。何でもよいと思います。これもまた批判を浴びそうですが「ぼーっとYoutubeを見て時間を過ごしてしまうよりもネタは集まってくると思います。新規開拓には新規開拓先にあった手持ちの情報を増やす工夫をしてみると良いですよ。

6.え、いまだにやってるの!(NEW)

少し話が先行しますが、せっかく時間を取ってもらえたのにいまだにそんなことしてるの!?という状況に出会って面食らってしまったので、絶対にやめた方が良いと思うアドバイスをひとつさせてください。間違ってはいないと自信がありますが、ご異論あれば今回の話は無視してください。 (めずしく強い口調で勧めさせていただきます。)


個人、法人、接客を問わず営業という世界で、20年以上前(もしかしたら30年以上前かも)では当たり前のセオリーだった接客手法、それがいまだに生きていました。

当時は、社内研修でもコンサルの先生の指導や各種セミナーでも「営業、接客では自分が話をするのは会話中の2割、残り8割はお客様に話をさせるように」というものや「はい、いいえで返される質問はするな、文章で答えるような質問をするように」という指導がされていたと思います。これ、真に最後までうまくいったらそれに越したことはないですがそんなことはまずありえません。お客様があなたのことを完全に信頼しきっていればこんなことを意識しなくてもいろいろな話をしてくれます。しかしあなたのことを完全に信頼しきっていなかったり、新規のお客様が、あなたに重要な社内情報や社内事情を話してくれると思いますか。あなたが話をする時間を2割にしたらその接客や商談はお通夜のように静かになってしまうと思います。はい、いいえでこたえられる質問なら多少は返事をしてくれると思いますが、文章で答えなくてはならないような質問だと沈黙がその時間を支配することになると思います。一度でも営業や接客をしたことがある方ならすぐに共感いただけるのではないでしょうか。

完全に信頼していないあなたに個人情報や個人の都合、社内情報や社内の課題をぺらぺら話してくれると思いますか。信頼をいただくためには繰り返し繰り返しあなたが情報を提供することです。初期段階はあなたが10割情報を提供しなくてはならないかもしれません、それがそのうちあなたが9.5お客様が0.5、あなたが9.0お客様が1.0と変化していくことと思います。というか変化させるのが営業の手段ですしそのように情報を提供し続けることが必要だと思います。(店頭接客などではこれを瞬時に行わなくてはならないから大変ですよね、ファーストインプレッション、身だしなみなどにも細心の注意を払ってください)

話を戻します、お客様はあなたを完全に信用しきっていない限りあなたに情報をくれません。「営業、接客では自分が話をするのは会話中の2割、残り8割はお客様に話をさせるように」なんてありえません。「営業、接客では自分が話をするのは会話中の割、残りお客様に何とか話をしていただけるように」が良いと思います(良いです)。

提供する情報の種類や方法はこのコラムでも紹介しています。参考になるようでしたらぜひご覧ください。